調べ物便利ツールGoogleにそんなオチがっ!

ファイルを整理していたら,2004年の東洋経済の記事がでてきました.長銀が生まれかわって,ちょっとオシャレな銀行になった新生銀行の社長さんの八城政基さんのインタビュー記事です.内容はこんな感じ….

ある人のところへ誘われていったとき,額にかかっていたのが孫文の書でした. 文章は王陽明のもので「知るは難く行うは易し」とあった. 一般には「言うは易く行うは難し」ですが,その逆です. 台湾の人に聞くと,「知るは難く」が本当だといっていました.
出典:週刊東洋経済2004年03月13日号,Key Person INTERVIEW 八城政基・新生銀行会長兼社長

ちょっと面白い へぇ~な話だなと思って,原典というか もともとはどういう文脈や時代背景で出てきた言葉なのか興味がわいてきたので,いつものごとくGoogleで検索してみることにしました.検索ワードは“知るは難く 行なうは易し”です……すると,なんと たったの3件しかヒットしないんです(2006年05月8日現在).

あれ?おかしいなと思って,検索ワードを前半の“知るは難く”だけにして再検索してみたら,今度は29件ヒットして,2番目の項目に まさに ぼくが参照している東洋経済2004年3月13日号のWebページがヒットしています.ヒットしてる部分は目次の八城さんのインタビューの見出し部分でズバリそのままの“八城政基/新生銀行会長兼社長/知るは難く行うは易し。考え抜けば未来は創れる”となっています.

あれれ?それじゃぁどうして最初の検索でこのページがヒットしなかったの?と思って,よーく見てみると,なんと,最初の検索ワードは“行う”の部分が“行なう”になってるんです.つまり送り仮名の送り方の違いでヒットしなかったらしいのです.実際 送り仮名を直して再検索したらズバリ的中です.

実際やってみましょうのコーナー
検索ワードヒット件数
知るは難く 行なうは易し 3
知るは難く 29
知るは難く 行うは易し 8

※件数は2006年05月08日23時ごろのデータ.

うわ,これは日本語処理だと,ものすごく初歩的な問題だわ,う~む,例えば,日本語にうるさいジャストシステムなんかが作ったら,こうはならないんだろうけども….と考えつつ,あれ? じゃぁ英語ではどうなってるの?と思ってcolorとcolourみたいに違う綴りで試してみたら,やはり英語でも同様に異なる綴りは違うものと認識されるようなんです(検索結果が変化します). うむ,なるほど,Googleはもともとヒューリスティックな知識はできるだけ排除する,可能なかぎり機械的にやっつける主義だから,こういう仕様なんですね.なるほど….

しかし,“行なうは易し”て書いたら“行うは易し”はヒットしないというのは,ちょっと驚きで,実際のところ,そういうこともあるんだなって覚えておかないといけない気がしてきました. まぁ,しかし,もっともっとWeb空間の情報が増えて増えてつながってリンクしてつながってリンクして行けば,“行なうは易し”と“行うは易し”という違いがあるページであっても文書内の他の個所は似てるはずだから,似たページと認識されて問題はなくなるはずなんですよね.

というわけで,将来に期待…(たぶん今のGoogleの方針は正しいはずだから)

おまけ

ところで,八城さんのお話の中に出てくる,孫文の筆による王陽明の金言ですけど,もしかしたら,王陽明のオリジナルは“言うは易く行うは難し”で孫文が“知るは難く行うは易し”に改変したのかもしれません.Web上では,いろいろ意見があって 記載の正確さや どこから引用してきたかがはっきりしないものが多いため,すぐには正解がわかりませんでした.王陽明や孫文の著作(の日本語版)を調べられれば確定できるんでしょうけどね…本の中身が検索できるGoogle Book Searchが待ち遠しいです.

でも,いずれにしても,どうやら,中国では王陽明や孫文など,いろんな思想家が “いうのは簡単だけど,実際やるとなるとタイヘンなんだから”とか, いやいや“何をするべきかがわかってしまえば やるのはやれるんだ”とか時代を超えて論争し, さらには“知るは難し,行うも易からず”,どっちも難しいよみたいに言いだす思想家の方もいたみたいで,“知行難易”の問題として ちょっと有名なテーマなんだってことがわかりました.

というわけで,ぼくもあやしいげな情報を増やして終わりといたします(^_^;)

この記事について

このページは、Takashi Hataiが2006年5月 8日 21:58に書いた記事です。

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