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5月26日~30日のグランドサークルツアーでラスベガスに宿泊したついでに,FC2, Inc.(以下FC2)が入っているというビルを見てきました.ページ先頭と最後の写真がFC2の入ってる(はずの)ビルです.

FC2とは

詳細についてはFC2のホームページを見ていただくとして,簡単に説明しておくと…

  • Yahoo!やLivedoorなどと同じようにインターネット上でいろいろなサービスを展開している会社です.
    • 特に無料ブログサービスの利用者数がものすごい勢いで伸びていることで有名です.少なくともブログサービスだけをみれば,Yahoo! JAPANやLivedoorも凌駕しています.
    • サービスは主に無料で,容量にも余裕があり,アフィリエイトの利用などの制限もゆるやかで,競合他社と比較してより自由な空間というイメージがあります.
  • 会社登記はアメリカ ネバダ州ラスベガスFC2会社概要参照)で,社長はアメリカ人なのだけど,サービスは日本向けだけのように見えるのが不思議です.サーバのロケーションはロサンゼルスだというウワサもあります.
  • 無料サービスが主なので,収入源が何なのか,何で利益を出しているのか はっきりしません.サービスは容量やサーバの軽さを見ても競合他社と遜色なく,それなりのお金が必要になりそうなのに,広告収入等がドンドン入ってきているようには見えません.どうやってサービスを維持してるのか不思議になります.

要約すると,ネット上の一大勢力としてものすごく伸びてるわりに,謎が多い会社ということで,たいへんに興味をそそる会社なのです.

で,ラスベガスによったついでに,ひとつ会社登記にあるビルだけでも見てみておこうというのが,今回の趣旨です.ビルを見たからって何がわかるといわれるとそうなのですけど,実はアメリカの事情をいろいろと勘案すると,少しわかってきたこともありました.

FC2のラスベガスの住所はダミーかもしれない

アメリカでは法人税などは州ごとに異なっているため,会社の住所をどこにするかで会社の設立費用や維持費用が大きく違ってきます.そのため,起業家の方が,会社の登記上の住所,すなわち名目の住所を税制などが有利な州におこうとする現象が起こります.

これは,投資ファンドの多くがケイマン諸島で設立されているのと同じと思ってもらえばよいです.

詳細については弁護士事務所などのホームページに譲るとして, ズバリいってしまうと,アメリカの中で起業に有利なので有名なのが,デラウェア州とネバダ州です.FC2の住所がネバダ州ラスベガスになっているのは,このあたりと関係しているのではないかと想像しています.起業家の方がラスベガスを起業地に選ぶ理由には以下のようなものがあるのだそうです.

  • 法人税がかからない.連邦税(Federal Tax)はどの州にいても同じだけど,それ以外の部分(法人税,所得税,消費税,ガソリン税,などなど…)は州ごとに設定しているので,州によって違っていて,ネバダ州の法人税は極端で,ゼロに設定されているそうです.
  • ネバダ州内に代理人をひとりおけばよく,取締役とかの人も他州の住人であってよい.つまり,FC2の会社登記がラスベガスになっていたからといって,本当にラスベガスに実体があるとは限らず,ビルの1室を借りて登記上の住所をおき,経営者や従業員も別のところに住んでいて,実際に作業をやっている場所も別のところであるという可能性は十分にあるわけです.
  • 経営者の法的保護(有限責任)がしっかりしていて,オーナー会社の社長さんにとって安全に会社経営ができる.この点は起業家の方にはたいへんな魅力になります.例えば知らない間に他社の特許を侵害していて訴訟になってしまったというような場合に,会社は破産してしまうかもしれないけど,経営者の個人財産は保護されるため,うっかり全財産を失ってしまうという危険がなく,起業家の方にはうれしいです.もちろん他州もみな有限責任制で経営者を保護していますが,経営者の過失責任などをどれだけ問うかは州ごとに違いがあり,ネバダ州はより経営者を保護する立場をとっている,かつそれが過去の裁判の判例という形で明確になっているという意味です.

参考になるサイト

推測ではFC2はこんな会社

実は何のトリックもない普通の会社なのかもしれません.

  • 収入は広告収入と一部の有料サービスからの収入のみ.多くはないけど,かかるお金も少ないから十分にやっていけるのかも.
  • “チープ革命”を極限レベルで実践するために,とにかく かかるお金を絞りに絞る.会社登記がラスベガスになっているのもその一環で,税金など会社運営にかかる諸費用を究極まで絞るための工夫かも.
  • ツボは,費用がほぼゼロで済むラスベガスから,費用がたいへんに高い日本向けにネットでサービスを提供する点にあるかも.高い費用がかかるのが前提の日本では,ネット広告の料金も高い.この高いネット広告を費用がほぼゼロのラスベガスで受注できるなら,利幅はとても大きくなる(あるいは競合他社よりずいぶん安い料金で広告をとることができる).つまり,海で採った魚を山で売るみたいな構造.魚の場合は保存や運搬にそれなりにお金がかかるからそれほど儲からないかもしれないけど,ネット上のサービスの場合,アメリカから日本にサービスを“運んだ”としても何も追加費用がかからないから,まるもうけ.
  • もしかしたら社長も名前だけで,実際に仕切ってるのは別の人で日本人かも.すなわち,上の発見をして,アメリカで後援者(または共同経営者)を募って起業しただけのことかも.
  • 無料サービスでユーザーに提供するものは,できるだけ安く調達する.ハードは別としても,今のネット上のサービスの多くは無料ソフトだけでも似たようなものが構築できてしまったりする.これはインターネット世代に顕著な傾向なんだけど,ぶっちゃけてしまえば,高いモチベーションで取り組んでいる(好きでやってる)個人・小さな団体が,プロが束になって作っているモノよりいいものを作ってしまう現象がしばしば見られる.FC2はこの現象をうまく利用している.
    • LinuxやApachなどのよく知れたプログラムはもちろん,アクセスカウンタや掲示板のようなCGIみたいなものにいたるまで,無料でとてもよいものが利用できる(Thanks>フリーウェア作家のみなさん).これらを利用すればソフトウェア費・開発費はゼロにできる.
    • さらに,FC2独自の工夫もある.例えば,FC2の ブログ テンプレートを無料ブログサービスを利用しているユーザ自身につくらせて,それを別のユーザに公開して使わせるというアイデアは秀逸.FC2はタダで最強のテンプレート集を構築する可能性がある.というか,もはやその確率がかなり高いといっていいと思います.ブログユーザの中にはアマチュアであってもモチベーションが高く とことん時間をかけていいものを作るユーザが必ずいるから,予算内でしか仕事ができないプロよりもいいモノができても全然不思議ではないと思います.

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