自己資本比率

現代では経済のグローバル化により,国境を越えてお金が動くようになっている. したがって,たとえばアメリカの銀行が単独では健全な経営をしているとしても, お金のやりとりがある日本の銀行がめちゃくちゃな経営をして破綻してしまうと その余波を食らうことになり,健全性が保障できなくなってしまう.

そこで,90年代に入って,国際決済銀行(Bank of International Settlements; BIS)が, 国際統一ルールを提唱するようになった. そのルールは,自己資本比率を8%以上に保つことである.

自己資本比率は以下の式で求める.

自己資本比率 = 自己資本 / リスク資産

自己資本 資本,法廷準備金,余剰金,
保有株式の含み益の45%
リスク資産 貸し出し,債権.

ここで重要なのが,分子の自己資本に保有株式の含み益の45%を加えてもよいというルールになっていることである.

保有株式の含み益を自己資本に加えることができるようになっていることで, バブル経済のように株価がどんどん上がっているときは, 自己資本が増幅し,どんどん貸し出しを増やすことができるようになってしまう. しかし,ひとたび景気が後退期に入ると,今度は株価が下がって含み益が消失し,自己資本が縮小してしまうのに, 債権が回収できなくなるリスクは増大してくるという状況になり, 急激に貸し出しを引き締めなければならなくなってしまう. これがいわゆる“貸し渋り”の原因になっている.

保有株式の含み益の45%を自己資本に含めることは, 景気の波を増幅させる効果をもち,“健全性を保つために”という本来の目的からは疑問が残るルールになってしまっている.


はたいたかし
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