比較優位

ある産品の輸出国になるのには,その品目の生産について 絶対優位の状態(どの国よりも優れた生産力を確保している状態)である必要はなく, 比較優位であればよい.

比較優位とは

たとえば,ある研究室に博士と助手がいる場合を例に考えてみる. 論文を書く仕事と,実験データをとる仕事の2つがある場合, 普通に考えると博士が論文を書いて,助手が実験データをとるという分業になるだろう. こうなるのには経済合理性の観点でちゃんとした裏づけがある.

博士は論文を書く能力でも実験データをとる能力でも助手より優れている. しかし,優れている度合いには差があり, 論文を書かせたら100倍くらい優れているけど,実験のデータをとる場合はせいぜい2倍程度という状態になっている. この場合,助手にデータとりを任せると, いろいろ失敗してやり直したりして博士なら1時間でできるものが2時間かかってしまうけど, それでも博士は空いた1時間で100倍の価値のある仕事ができるから, ちゃんと元がとれるという仕組みだ.

これを輸出入で考えてみると, たとえば自動車生産の能力が10:1,農産物の生産能力が2:1の場合, この国は農産物は輸入国になるのが自然な状態ということになる. なぜなら,この国では農業に従事している人員を自動車生産にシフトさせることで優位性が拡大するからだ.


はたいたかし
2006-07-29
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