pack, fock, school, swarm

“群れ”のいろいろ

日本語では群をなしていれば,なんでも“群れ”なんだけど,英語では群れを成している動物の違いによって単語を使い分けている.
単語意味
pack /パック/ オオカミやシャチ(killer whoale)など狩をする動物の群れ. “3個パックで100円”とかいうときのパックで,本来は“詰め込む”という感じの意味. 群れの意味でパックといったときは徒党を組んでいる感じのイメージ(ギャングみたいなイメージ→関連語のgangも参照).
flock /フロック/ ヒツジなどの群れ.温和な感じの動物がほんわか群れをなしているイメージ. ヒツジ,ヤギ,牛,アヒルなど家畜にするような動物の群れはすべてフロックを使う. カトリック教会で信者のみなさんのことを指して“子羊たち”とかいうと思うんだけど, あれも英語の“the flock of Christ”という表現からきているのだと思う.
school /スクール/ 魚の群れ. クジラやイルカなどの水棲哺乳類の群れもスクールを使う. ※シャチは凶暴なイメージがあるのでスクールではなくパックを使う点に注意.
swarm /スゥォーム/(発音注意) 空を飛んでいるウザイ昆虫の群れ. 蚊柱やミツバチや羽アリが巣別れするときの群れ,イナゴの大群みたいなものを連想するとよい.基本的には蚊柱のようなものをさすが,ああいう感じのウジャウジャ感を連想させるものであれば,アリなどの飛ばない群れでもよい.swarm of schoolchildren のような表現もある.

上表に具体的な名前が出ているモノについては特に問題ないのだけど, その他のモノについては,語のイメージから{pack,flock,school,swarm}を使い分けることになる. まちがえても問題はなさそうだけども,いちおう英語では普通これを選ぶという慣習的なルールがあるので,変なのを選ぶと変に聞こえるかも(あたりまえか…). たとえば潜水艦は魚みたいに水中にいるからschoolかなという解釈もあるかもしれないけど, 潜水艦は船をやっつける攻撃的な感じなのでシャチの仲間とみなしてpackが普通だったりする. 戦闘機なんかも空を飛んでるけどswarmではなくてpackが普通(あるいは大軍の意味で“battalion”といったりとか). 逆にいえば,敵の爆撃機に対して“a swarm of bombers”というのはアリ.

人間に対して使う場合は,普通はフロック(flock)でよいのだけど,群れの性質から{pack,flock,swarm}の3種類のどれでもありうる. “a pack of people”というと暴力を振るったりしそうな感じ,“a swarm of people”というと何かに群がっているウザイ感じの群集という感じに聞こえる (ウザいイメージを借用しているだけだから空を飛んでいる必要はないよ).

swarmについては,特に感情はこめずに“多数の…”の意味にもちいることも多い. ただ,こういう場合はパック(pack)を使うのが普通だし無難. 日本語でも“3本パックで1000円”とかいうし,使いやすい.

in flock,in pack

“in flock”や“in pack”のように使って“みんなで”とか“集団で”,“群れをなして”のように使える. たとえば“They came in flock”(みんなでやってきた,群れをなしてやってきた)のように使う. この場合も“in flock”というのと“in pack”というのでは全然イメージが違うので適切な語を選ぶ必要がある.

To show Pharaoh that they had been sent by God, Aaron threw his walking stick on the ground. Miraculously, it turned into a snake. But Pharaoh's magicians could do the same and Pharaoh was not convinced. He refused to listen to Moses. So, God turned the waters of the River Nile into blood. Then, frogs swamped the entire country. This was followed by swarms of gnats and flies.
First Bible Stories, Backpack Books, 2005. (pp. 100-101)

関連語

単語意味
gang /ギャング/ 犯罪者集団や若い人たちのムチャな集団(暴走族とか),肉体労働に従事する労働者の仲間集団. [日本語にもなってるギャングと,ほぼ同じ意味だけど,すごく親しい遊び仲間とかのことをギャングということもあることに注意.イメージとしては会社などの便宜的な仲間関係に対して,利害関係ぬきの心情的なつながりを強調する表現.ギャングの意味ではない“gang”の用例としては,プログラミングの“デザインパターン”の原型を作った4人の研究者を指して“Gang of Four”(GoF)と呼ぶようなケースがある.また,小さな子どもたちの遊び仲間のことをギャングと呼ぶケースも多い.]
motercycle gang 暴走族
train 隊列. 電車とかいうときのトレインなんだけど,人や動物が列になって歩くとかいうときはトレインという語も使える.
battalion /バタリオン/ 大隊.大軍,大群.
paraphernalia /パラフェネイリア/ 装備・機材.ウネウネはいまわるケーブルなどの面倒事.swarm のウジャウジャ感に対して,paraphernalia は機材や配線ケーブルなどがウネウネしているイメージ.

はたいたかし
2005-09-17
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