pancake

［名詞］ホットケーキ．

［動詞］

• ぺちゃんこになる．車が壁にぶつかってぺちゃんこになるとか，地震で建物が倒壊するという意味で使われる． パンケーキ（ホットケーキ）が“ぺちゃんこ”（flat）なイメージから“ぺちゃんこになる”（flatten）の意味に使われるようになった．
• 飛行機が胴体着陸する． 正確には離陸直後や着陸直前でエンジンストールを起こしてしまったりして低い位置から底面で滑走路（または地面）にスライディングしてしまった状態のこと． 墜落は一般的には“crash landing”とか“emergency landing”というのが普通なんだけど，胴体着陸のときには“pancake landing”という語もある． 普通の着陸（landing）が脚で立ってる感じなのに対して，足が折れてペタンとなっている感じなのがパンケーキなんだろう．
  パンケーキの動詞の用法を載せている辞書（たとえばOxford）は俗語に分類しているようだけど，実際にはかなりよく使われていると思う． National Geographicなどのテレビ番組でも普通に聞く単語になっている．
  • Encartaで“pancake landing”を見てみる
  • Merriam-Websterで“pancake landing”を見てみる
  • Britanicaで“pancake landing”を見てみる

パンケーキとホットケーキ

日本語でも“パンケーキ”と呼ぶ場合もあるし，アメリカでもホットケーキ（hot cake）と呼ぶ場合もある． たとえばマクドナルドの朝食メニューでは日米とも“ホットケーキ”で統一してある． 日本マクドナルドでは“マック グリドル”（McGriddles）というメニューもあるけど，グリドル ケーキ（griddle cake）もパンケーキと同じ意味． マック グリドルは，グリドル ケーキ（パンケーキ）でソーセージとか玉子とかベーコンとかをはさんでるのでグリドルという名前にしたのだと思う． ［あ，しかし，はさんであるものもグリドルだわ…深いな．関連語の“sausage”を参照．］

パンケーキのパンはフライパンのパン． フライパンで焼くケーキだからパンケーキ（普通のケーキはオーブンで焼くもの）．

グリドル（griddle），グリル（grill），オーブン（oven）

• グリドルというのは日本で言うところの鉄板焼きの鉄板やホットプレートの鉄板のようなもののことで， パンケーキのほかベーコンとか卵とか肉とかを焼いたりするのに使う． 日本でもそうだけど，パンケーキや目玉焼き用の平滑面のもののほかに，肉を焼くための波板状のもの （焦げ付きにくく余計な油を逃がす工夫がしてあるもの）があって，どちらもグリドルと呼ぶ．
  おそらく“あぶり焼き”のグリル（grill）に対して鉄板焼きは“グリドル”（griddle）と呼ばれるようになったのだと思う．
• グリルというのは本来は“BBQグリル”みたいに直火で肉を焼くための装置で， 網の上に肉，網の下に炭または強火のような構造になっているのが特徴． ガス台の真ん中のあたりに魚を焼いたりするときに使う引き出しがあったりすると思うのだけど，あれもグリル．
• オーブン（oven）は電子レンジ（microwave oven）みたいな箱のようなイメージ． もともとは暖炉の上のほうにナベなどを入れられようにした窯（かま）のことで， こちらは先にかなり高い温度に上昇させてから食材を投入して調理を開始するのが特徴． ただし，最近の家電のオーブンレンジ（オーブン機能と電子レンジの機能の両方がついたもの）では， オーブンにオーブン皿の上に網を載せて魚を焼いたりする調理法もあったりするので， この場合オーブンなのかグリルなのか微妙になってしまう（実際のところこの使用法だとグリルと呼ぶことが多いみたい）．

電気オーブンはグリルの用途にも使えるようになっているわけだけど，この2つの語のイメージは相当離れていて， グリル→レストランの意味でも使われる語，オーブン→母親の愛情のこもった手料理の隠語という感じらしい． 日本だと暖炉＋オーブンて普通ないわけだから，ぜんぜんピンとこないけど．

自動車のフロントグリル

グリル（grill）は本来は“網において直火で焼くこと・装置”のことなんだけど， これが転じて“網”の意味になり，車の“フロントグリル”（front grill）のようにも使われるようになった． 車の前面には空気を取り込むための網や格子がついていることがあるのだけど，あの網・格子のことをフロントグリルと呼ぶ（BMWを前から見た姿を思い出してみましょう…）． ［Google Imageで“front grill”を見てみる］

関連語