BibTeX:カテゴリーの決め方

参考文献データベースを作成するときに十分に気を配っておかなければならないポイントのひとつに,文献カテゴリーがあります. どのカテゴリーで登録されているかは,BibTeXが出力する参考文献リストにダイレクトに反映されるので, 決していい加減に決めてはいけません. 特に研究の一貫として作成する文書(ゼミ稿やミーティングのための資料なども含む)の場合, 参考にした文献が,学会に提出されていた論文なのか,予稿集や会報に掲載されていた文書なのか, 書籍として出版されているものなのかといった情報を示す文献カテゴリーはとても重要な要素なので, 必ず正しいカテゴリーで登録しておく必要があります.

カテゴリーの詳細

よく使われるカテゴリー

BibTeXが認識するカテゴリーはたくさんありますが,実際に利用されるものはそう多くはありません. よく使われるカテゴリーはつぎのようなもので,これだけ覚えて使い分けられるようになっていれば十分かも知れません.


よく使われるカテゴリー
カテゴリー 内容
Article 論文誌に掲載されている論文.
InProceedings 議事録や会報に載っている論文.予稿集に載っているものもこのカテゴリーに属します.
PhdThesis 博士論文
MasterThesis 修士論文
Book 書籍
InCollection 書籍の一部.ただし,その部分が独立した表題を持っているようなもの. 学会や研究会があるテーマに沿った特集を組んで その分野のリーダー的存在の人たちが投稿した論文やテクニカルノートなどを収録した本に載っている文書.

論文は, Article,InProceedings,PhdThesis,MasterThesis の4つのカテゴリーに正しく分類しなければなりません. 修士論文や博士論文については間違うことはないと思いますが,これから卒業研究をはじめようという人は, まだ論文誌に載っている論文と予稿集や会報に載っている論文を意識して区別してはいないと思いますので, ArticleとInProceedings,InCollectionの使い分けには注意が必要だと思います. 概ね次のように分類してください.

正しいカテゴリーに分類できていれば,全ての必須エントリーを簡単に埋めることができるし, 多くのオプションのエントリーも気持ちよく埋めることができるはずです. 逆に間違ったカテゴリーにむりやり分類しようとすると,必須エントリーすらうまく埋めることができないと思います. エントリーを書いているときに,そのエントリーに何を書くべきか疑問に思うようなら 正しいカテゴリーに分類しているかどうか見直してみてください.

あまり使われないカテゴリー

次のカテゴリーは頻繁に使われるものではないと思われますが, 文献によっては必要になる場合もあります(例えばブックレットのようなものは,あまり参考文献リストに出てくる機会はないでしょう. しかし,本当にブックレットを参考文献として載せる必要がある場合にはBookletカテゴリーが必要になります).

あまり使われないカテゴリー
カテゴリー 内容
Conference inproceedingsと同じ.
InBook 書籍の一部. 例えば「UNIXシステムプログラミング」という本の 「第5章 プロセスの制御」だけに限定して参考文献に載せたいというような場合に使います.
Booklet ブックレット. 日本では一般にパンフレットと呼ばれることが多いような気がしますが,正式名称はブックレットです. 英語圏の人は日本人がパンフレットと呼んでいるものをブックレット(booklet), パンフレット(pamphlet),リーフレット(leaflet)の3種類にわけています. 映画館に行くとくれるのがパンフレット,パンフレットみたいだけど綴じてないもの (数枚の紙が半分に折って挟み込んであるだけのもの)がリーフレットです. 日曜日の朝早くにやってくる宗教の人がくれたりするタイプの冊子 (朝に来るから「めざめよ!」というタイトルが多いかも?)がブックレットです. この説明でわかったかな?(;^_^) まぁ,とにかくパンフレットはブックレットです.
Manual マニュアル.
Proceedings 議事録,会議録,会報など.
techreport テクニカルレポート. 民間の研究所などが作成した技術文書を分類するカテゴリーです.
Unpublished 正式には出版されていない本など.
Misc 他のどれにもあてはまらないもの

Miscカテゴリー

Miscは実際に文献データベースを運用していく際には,とても重要な役割をもつカテゴリーです. 例えば誰かからもらった論文らしきもののコピーのように出典がよくわからないものをMiscに分類することになります. 安易にMiscに分類することは避けいたいのですが,全ての文献がきっちりと分類しきれるほど世の中あまくありません. Misc以外のカテゴリーは最低1個は必須のエントリがあるのですが,Miscだけは全てのエントリがオプションなので, 出典が明確にわからなくても,わかっている項目だけを書いておくという非常手段をとることができます (後日,出典がわかってから改めて分類し直せばよいのです).

おまけ


はたいたかし
1998/11/03 初稿
2004/09/05 訂
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