ネット配信されていないアニメ作品一覧

（左）怪物女王 (2007) ©光永康則・講談社／怪物王女製作委員会 （中央左上）せんせいのお時間 (2004) ©ももせたまみ／竹書房・せんせいのお時間製作委員会 （中央右上）ヒャッコ (2008) ©カトウハルアキ・フレックスコミックス／ヒャッコ製作委員会 （中央下）Super Seisyun Brothers -超青春姉弟s- (2013) ©慎本真･COMICポラリス/AIC （右）青い花 (2009) ©志村貴子・太田出版／青い花製作委員会   ※この5作品は録画か円盤をもってないと見られません！

概要

• ネット未配信の作品・定額の月額使用料を支払うと見られるようになる「見放題」から外れている作品のメモです．
  • ときどき「全話一挙放送」などで公開されても期間限定でひっこめてしまうことが多い作品も含みます．
  • レンタル配信（PPV）で見られる作品は下表に◯印をつけてます．
  • ◯印がひとつもない作品がホントに配信されていないものです．私が調べた範囲で5作品が未配信でした（トップの画像参照）．
• 「見放題」ではないものの個別に料金を払うと見られるようになっているもの（pay-per-view; PPV）が多いです．たいてい下記のどちらかで見られます．
  • バンダイチャネル
    • アニメ配信の草分け的存在で2025年現在でも圧倒的配信タイトル数です．
    • 見放題に出さないアニメ製作委員会の多くはバンダイチャネル経由でPPVでだす方針のところが多いようです．
    • 他の配信サイトで見放題になっていない作品でもバンダイチャネルだけは見放題枠に入っていたりします．ただし見放題の月額利用料が他社より少し高めです（バンダイチャネル 月額1100円，dアニメストア 650円）．
    • 見放題でないものは基本的にレンタル（PPV）なので長期にわたって繰り返しみたい場合はその都度料金がかかります．
  • Amazon Prime Video
    • 最近PPVコンテンツの販路として好まれているようです． Marketplace 的に他サイト提供のコンテンツがPPVで売られています．
    • レンタルだけでなく売り切り（セル）もあるのが特徴です．

BC … バンダイチャネル（◎は見放題指定），AM … Amazon Prime Video．

• 新興サイト・弱小サイト（Abema，DMM，U-NEXT）が目玉商品として無料・有料で配信している場合がありますが，安定して配信されているわけではないので除外しています．
• ニコニコ動画が ときどきやる「一挙放送」のような期間限定のプロモーションも除外．

ネット未配信・見放題配信されない理由

理由はさまざまだけど以下のようなものが考えられます．

• 破綻型
  • 例『Super Seisyun Brothers-超青春姉弟s-』 (2013)
    • 制作会社AICが破綻してまともに版権処理ができなかったあおりをくったものと思われます．
    • 作品自体の人気やデキはわるくなかったと思います．個人的には好きな作品でした．ファンも多かったと思います． その証拠に放送5年後の2018年10月にド根性でDVD発売までこぎつけています．誰の功績かは不明なのですが，破綻した会社の版権を5年越しで話をまとめてDVD化までもっていくって並の愛ではできないように思います．
    • ただし，たいへん厳しい状況だったようで，出たのはDVDのみ（Blu-rayはなし）．今後もネット配信にたどりつくのは相当困難だろうと思われます．DVDをお持ちのみなさんは大切にしましょう．
• 強コンテンツ型
  • コンテンツが強すぎてお金を払って見る人が続出するパターン．
  • 例『ガールズ＆パンツァー』 (2012)
    • 圧倒的に稼げるコンテンツであることから，製作元のバンダイビジュアルが戦略的に見放題への放出を抑制していると思われます（バンダイチャネルPPVのみの時期も長かった）．
    • 新作映画公開などのタイミングを見計らって話題作りのため？期間限定で見放題が提供されます．
    • 現在制作中の『最終章』完結すると見放題に移行するのかも．
  • 『劇場版 聲の形 (2016) のセル配信（売り切り形態での配信）が行われないのも強コンテンツの例かも．
    • Amazon Prime Video 会員限定で独占の無料のストリーミング配信が行われるようになりました（2024-06-10）．
• 円盤時代のなごり
  • 上の表を見ても2008年〜2012年までの作品にPPVが多いことがわかると思います．当時はTV放送が終わるとしばらく未配信かPPV配信のみになる作品が多かったんです． そのため，『けいおん』(2010)，『神のみぞ知るセカイ』(2010)，『魔法少女まどか☆マギカ』(2011)，『化物語』(2009) といった，アニメファンなら誰もが知っているような超有名作品でさえ，未配信やPPVでしか見れない時期がありました． まだまだ円盤売上（DVD/BD売上）が重要だった時期というのも関係しているのだと思います．
  • 円盤時代の作品でも例にあげたような強いコンテンツは後に続編や劇場版が作られるなど製作委員会が引き続き活動を続けて版権処理が可能な状態が続いていたため，配信・見放題ができるようになっています．
  • そこまで強いコンテンツでない場合，テレビ放送終了しばらくすると製作委員会の実動がなくなり（著作権収入の分配などの事務処理はできても権利者を招集して会議をして新しい方針を決めるというようなしんどい活動をする人員はいない状態になる），そのまま未配信になったり，いつまでも見放題に開放されないまま放置になるということだと思われます．
  • 逆に2015年以降はネット配信されていない作品というのは見あたりません（『アニサン劇場』という12回を4作品で3話ずつ放送した『姉ログ』は特殊例なので例外）． すでに配信で見るのが当然の時代に移行していて最初から配信で見ていることが多いため，今後はもう未配信作品が増える心配はなさそうです．

テレビ局オンデマンド配信暗黒時代（2013〜2016年頃？）

円盤時代のあとに「テレビ局オンデマンド配信暗黒時代」（2013〜2016年頃？）というのがあり，過去作品を見るのにたいへんお金がかかるようになった時期がありました． テレビ局が 日テレオンデマンド, Hulu（Disney/日テレ）, FOD（フジテレビ）, TBSオンデマンドなどの独自オンデマンド配信サービスを立ち上げて 自局で放送したアニメを囲い込んだ時期です．

例えば，日本テレビが放送した『GJ部』(2013) や『帰宅部活動記録』(2013) など「日テレオンデマンド」にお金を払わないと見られない（他社には配信させない）というような事態が頻出しました． 払えば見られるわけだから未配信なわけではないものの，あっちこっちに月額980円（7日300円とかもあり）を払って見てるとけっこうな出費になったりしますし，何より気軽に過去作品にアクセスできなくなって，たいへん不便でした．

現在は無事すべてのテレビ局オンデマンド配信サービスが死亡または実質意味をなさない状態になっていて平和がもどってきています． （TBSオンデマンドが2018年6月，日テレオンデマンドが2019年9月に死亡，保有していたアニメコンテンツはしかるべきところに開放されています． FOD と Hulu は生きていますが，すでにアニメコンテンツの囲い込み = 見たかったら金を出せっ！という非人道的行為はやめています．）

GJ部 (2013) ©新木伸・あるや／小学館・GJ部保護者会	帰宅部活動記録 (2013) ©くろは／スクウェアエニックス・「帰宅部活動記録」製作委員会

Netflix 暗黒時代（2018〜2022年頃）

Netflix をはじめ Amazon Prime Video, Disney+ などアメリカ巨大資本の黒船が来航して自社サービスだけで先行配信した時代（2018〜2022年頃）があったんですが，あくまで1〜数クール先行で配信するだけで，次クール以降には他社も配信していたので（未配信コンテンツができるかできないかという観点では）特に影響はなかったように思います．

配信を自サービスのみに限定してしまうことで契約してない人（大多数）を巻き込めず，ヒットを出しづらい構造だったことから，すでにビジネスモデルとして失敗が確定したようです． テレビ放送第1期が大ヒットした『TIGER & BURNNY』の2期が Netflix 限定で放送されて全く話題にならなかったどころから，2期が作られたことすら知らない人が多かったことは「タイバニ事件」として有名になりました[1][2]．
個人的には『A.I.C.O. Incarnation』 (2018) とか『7SEEDS』 (2019-2020) など，けっこういい作品が あまり知られないまま埋もれちゃったことのほうが残念でした．

A.I.C.O. Incarnation (2018) ©BONES／Project A.I.C.O.	7SEEDS (2019-2020) ©2019 田村由美・小学館／7SEEDS Project

参考　逆に円盤がでない！？ ←今ココ

これまでとは逆に円盤（Blu-ray Disc）がだせなくなるパターンも発生するようになりました． もうディスク買ってくれる人も多くないですし，状況が厳しい場合は既存の配信だけで済ませる（ディスク用に映像修正したり，ジャケットやブックレット描いたりなんかできない）てことになりますよね．

• ささやくように恋を唄う (2024)
  • 制作会社クラウドハーツが破綻したことで2025年1月から発売開始予定だった Blu-ray Disc の発売が中止になり，既存の予約はすべてキャンセルになった (2025-01-07).
  • 配信では見られるのでセーフ…？ なんだけど，2025年1月時点では見放題での提供はなく，全配信サイトともレンタル（PPV）のみとなっている．

ささやくように恋を唄う (2024) ©竹嶋えく・一迅社／ささやくように恋を唄う製作委員会

参考　見放題に開放済みの作品

「円盤時代」の作品で当初未配信・PPVのみとなっていた作品で現在見放題枠に入るようになている作品には次のようなものがあります（2017年の1回目調査時からの差分）．

• ニセコイ (2014)
• キルミーベイベー (2012)
• まよチキ！ (2011)
• そふてにっ (2011)
• Aチャンネル (2011)
• お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ (2011)
• けんぷファー (2011)
• 電波女と青春男 (2011)
• 魔法少女まどか☆マギカ (2011)
• けいおん！！ (2010)
• ひだまりスケッチ (2010)
• ソ・ラ・ノ・ヲ・ト (2010)
• 会長はメイド様！ (2010)
• それでも町は廻っている (2010)
• 神のみぞ知るセカイ (2010)
• かなめも (2009)
• にゃんこい！ (2009)
• 化物語 (2009)
• 戦場のヴァルキュリア (2009)
• 明日のよいち！ (2009)
• かんなぎ (2008)
• 今日の５の２ (2008)
• ハヤテのごとく (2007)
• 最強の弟子 ケンイチ (2007)
• 明日のナージャ (2003)

参考文献