テレビ,新聞,出版のメディアとしての影響度
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    読売新聞は購読数が1000万部超[2]
    
      - 1000万部→テレビ視聴率では7.7%に相当.意外に小さい.
 
    
   
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    視聴率20%をこえるテレビは新聞より圧倒的に影響力が大きい
    
      - 土曜日のNHKニュース7とかだと,いつでも20%近い視聴率がとれている[3]
 
      - 紅白歌合戦は現在でも40%弱の視聴率を維持
 
      - 日曜18:00台の「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」が40%弱
 
      - 「Dr. スランプあられちゃん」,「タッチ」,「ゲゲゲの鬼太郎」など,だれでも知ってるアニメが40~30%程度
 
      - 野球やサッカーの決勝戦などになると50%近いのが普通
 
      - その他一時的にはやっただけのくだらない番組でも余裕で20%超のものが見つかる.
 
    
   
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    出版界では1万部でベストセラー[1]
    
      - 出版は実はニッチなメディア[1]
 
      - 
        これは実はそうでもないかもしれない.
        
          - (時の人としての)勝間和代さんの例:出版する本はすべて10万部超.累積200万部超(2009年11月ごろまでのデータ).
 
          - 村上春樹:『1Q84』はBook 1,Book 2累計で224万部(2009年5月発売~2009年12月の7か月弱)[5].
 
          - その他,なんだかよくわからない「まくだけダイエット」とかみたいな雑多な本でも,わずか数か月で33万部とか売っている[5].
 
          - データを ざっと眺めるかぎり,最低でも10万部超くらいはないと とてもベストセラーとはいえないのでは?
 
        
       
      - 
        出版のベストセラーは定義が難しい.
        短期間でたくさん売る流行本みたいなものもあれば,著者の死後何十年・何百年も売れ続ける古典名著もあるから,
        何をしてベストセラーとするかは意見が激しく分かれる[3].
        書籍についてはベストセラーではなく,ミリオンセラーやロングセラーのほうが意味があるかもしれない.
        ただ,テレビや新聞と比較する場合,流行も含めたメディア特性を議論しているはずなので,
        毎週の書店POSデータにあらわれる数値のような意味のベストセラーが適当だろう(例えばAmazonのベストセラー[6]みたいな感じの).
      
 
    
   
- Purpose Driven Life 2000万部(世界累計)
新聞 朝刊部数
  | 紙名 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 
  
    | 読売 | 
    10.0 | 10.0 | 10.0 | 10.0 | 
  
  
    | 朝日 | 
    8.1 | 8.0 | 8.0 | 8.0 | 
  
  
    | 毎日 | 
    4.0 | 3.9 | 3.8 | 3.7 | 
  
  
    | 日経 | 
    3.0 | 3.1 | 3.1 | 3.0 | 
  
  
    | 産経 | 
    2.2 | 2.2 | 2.1 | 1.6 | 
  
  - 単位:百万部.
 
  - 元データは週刊東洋経済特集記事[2]から.詳細すぎる部分を簡略化したもの.
 
  - 
    データを冷静に見るかぎり,産経以外は,まぁ,ほぼ横ばいでは?
    下のほうの桁を見ていると小さくなる方向なのは間違いないとしても大崩れというほどではなさそう.
    生活者の実感としても,不況→新聞解約とはならない感じだから,発行部数はこんなものだろう.
    発行部数の面では「不況」ではなく「不要」だから引越しとか何かの拍子に解約&二度ととらないという感じで,
    じわじわと後退していく感じなのだろうと思う.
  
 
  - 
    不況は広告収入のほうには効き目抜群のようだ.
    メディアごとの広告収入は1位テレビ広告,2位新聞広告なのだけど,2009年以降,対前年比2桁ダウンのペースになっている[2].
  
 
  テレビ・新聞の広告収入
  | # | メディア | 広告収入 | 前年比 | 
  
    | 1 | 
    テレビ | 
    1兆9092億円 | 
    -4.4% | 
  
  
    | 2 | 
    新聞 | 
    8276億円 | 
    -12.5% | 
  
出版については もう少し慎重な議論が必要かも
  日本における累計販売の多い書籍一覧[4]
  | 書名 | 発行年 | 発行部数(万部) | 
  
    | サンテグジュペリ:星の王子様 | 
    1958 | 
    600 | 
  
  
    | 黒柳徹子:窓際のトットちゃん | 
    1981 | 
    578 | 
  
  
    | ハリーポッターと賢者の石 | 
    1999 | 
    506 | 
  
  
    | 乙武:五体不満足 | 
    1998 | 
    477 | 
  
  
    | 松下幸之助:道をひらく | 
    1968 | 
    450 | 
  
  
    | ハリーポッターと秘密の部屋 | 
    2000 | 
    433 | 
  
  
    | デール・カーネギー:人を動かす | 
    1958 | 
    430 | 
  
  
    | : | 
     | 
     | 
  
  
    | 福沢諭吉:学問のすすめ | 
    1872 | 
    340 | 
  
右の表は,Wikipediaがベストセラーという語の意味を論じたページ[4]に参考としてあげている書籍一覧.
この表ひとつを見ても,出版におけるベストセラーの定義,もっと言えば,出版において“売れること”の意味が何なのかを考えさせられる.
一時的な流行,芸能人や映画などの他メディアからの外乱など,
本来のメディアとしての出版のイメージ(一般の人がテレビや新聞と対比させていう場合の書籍であり出版のイメージ)と現実との乖離が大きすぎる.
“商売としての出版”の意味であれば,これでよいのだろうけど,
メディア・言論形成空間としての出版の意味では,もう少し外乱を除去したクリーンな統計が必要な気がする.
ただ,どうすれば恣意性を排除しながらクリーンな統計がつくれるかが問題かなぁ….[かといって“タネ本”と呼ばれる本だけに限定したランキングにすれば,よいかというとそうでもなさそう.タネ本がどれだけ売れるかは影響度の大きさというよりは,タネ本そのものが平易な表現でかかれているとか,有名人になったあとに書いた本だったなどの要因が大きいと考えられ,必ずしも発行部数と影響度が比例するとは思えないので.]
参考 週刊少年ジャンプに連載中の人気マンガ“ONE PIECE”の第57巻(2010-03-04発売)は,初版だけで300万部超を売ったとか[7][8].これはコミックス史上最高記録になっている.前の巻の第56巻も初版だけで285万部を売っている[7][8].
参照
はたいたかし
2010-02-12
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