忙しくもないのに(?)目がまわる病気です. 目がまわるので気持ち悪 くなって激しい吐き気があります(激しく嘔吐することも少なくありません). 平衡感覚が失われるので,症状がひどいときは立ち上 がることもできません. ほかにも,耳鳴りや難聴などの症状がでることもあるようです. また,人によっては何度も再発しているうちに難聴の症状がでることもあるようです([2]pp.87-97).
ぼくの場合は,1998年3月に激しい発作が起こって立ち上がることもできなくなって救急車で運ばれ,そのまま入院しました. 最初の発作が起こったときに激しく嘔吐したことによる心理的な影響で, 発作が起こったあとの数日間は固形物が喉を通りませんでした(これもよくある症状だそうです). 退院後も8月くらいまで(約半年間)は,たびたび激しい発作(立ち上がれないくらいの 発作)が起こってたいへんでした. 1年半以上が経過した今でも,体調が悪くなると強いめまいの症状がでることがあります.
実は,発作がでる数ヵ月前から軽いめまいの症状があったのですが, 症状が軽 かったため特に気にとめずに放置していたのがまずかったようです. もう少し早く対処していれば入院しなくてもすんだと思うのだけど, 実際に発作がでるまでは「目がまわるような気がするけど気のせいだろう」と思っていたので, 医者に相談するなんて思いつきませんでした.
平衡感覚をつかさどっているのは,耳のおくにある三半規管(さん はんきかん)という器官です. 三半規管はカタツムリのカラのような形をした管で, 管の中にはリンパ液という液体が半分くらいまで入っています. そして,この液体の動きを検出することで体の傾き具合をわりだしています.
メニエール病の直接の原因は,この三半規管の内部のリンパ液の量が増えすぎることです. リンパ液が増えすぎると管の中で液体の動きが悪くなるために, うまく体の傾きを検出できなくなってしまいます(平衡感覚がなく なるということです). 平衡感覚がなくなるとどんなことが起こるかというと, 例えば,実際には体は水平を保っているのに耳(三半規管)からは「左に15度 傾いている」というような間違った情報がでてくるため, 頭の中は混乱してしまいます. 傾きを直すために体を右に回そうとするのだけど,体を動かすと耳からはさらに間違った情報がでてきてしまうため, いっこうに解決できません. また,耳からは「左に15度傾いている」という情報がでていても, 目で見ると 水平で,この視覚との不一致が「のりもの酔い」と同じです.
(三半規管の詳しい仕組みについては,生体情報処理の授業で習います)
直接の原因は三半規管の内部のリンパ液の量が増えすぎることなのですが, なぜリンパ液が増えすぎるのかという根本的な原因は,いまだによくわかっていません.
原因がわかっていないので根本的な治療法はありません. 普通はめまいをとめる薬や吐き気をおさえる薬と鎮静剤(精神安定剤)を併用して症状に対応します. あとは安静にして発作がおさまるの待ちます(;^_^) ぼくは発作がひどい ときだけに,市販の鎮静剤を使うようにしています.
症状が長期化している場合は手術をするという方法もあります.例えば耳の中に別の通路をつくって, 増えすぎてしまったリンパ液をそちらに誘導するというような方法です. この方法だとスッキリ治るようです(また再発するかも知れないけど).
耳が原因で起こる病気の代表的なものには次のようなものがある.
脳幹や小脳に脳卒中が起こると めまいの症状がでる.
脳卒中は非常に危険な病気のため,脳卒中が疑われる場合には可能な限り早く医師による処置を受ける必要がある. 特に脳卒中では「とりあえず ひと眠りして様子をみよう」とすることが致命的なミスになるため救急搬送をためらってはならない. ただし,めまい症状が起こる病気の原因としては 圧倒的多数は耳が原因の病気.