インフルエンザにアセトアミノフェンが処方される理由

日本では「ロキソニン」という解熱鎮痛剤がとてもポピュラーで,頭痛などの痛み・発熱・炎症などの症状に対して非常によく処方されている.

しかし,なぜかインフルエンザのときだけは,高熱や激しい頭痛があってもロキソニンではなく「カロナール」(一般名「アセトアミノフェン」)が処方される.これはインフルエンザに対しては副作用の面でアセトアミノフェンが最も安全性が高く,特に小児科学会が推奨しているから[5].

アセトアミノフェン以外の解熱鎮痛剤は(非常に低い確率ながら)インフルエンザ脳炎・脳症やライといった重篤な副作用があらわれる可能性がある.ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)やポンタール(メフェナム酸)については 2000 年以降,厚生省から注意喚起がおこなわれた[3][4].詳細は参考資料を参照のこと.

インフルエンザと代表的な解熱鎮痛剤の相性
商品名 一般名 小児 大人 備考
タイレノール A
Tylenol A
カロナール
アセトアミノフェン
Acetaminophen
小児・大人とも安全に使用できる.
イブ A
EVE A
イブプロフェン
Ibuprofen
小児は注意を要する.
ロキソニン S
Loxonin S
ロキソプロフェンナトリウム水和物
Loxoprofen sodium hydrate
小児は注意を要する.
アスピリン
バファリン A
アスピリン
Aspirin
ボルタレン ジクロフェナクナトリウム
Diclofenac sodium
ポンタール メフェナム酸
Mefenamic acid

参考資料

[1] 全日本民医連 - くすりの話 150 インフルエンザの薬
[2] 全日本民医連 - くすりの話 50 インフルエンザのときの解熱剤使用に注意
[3] 厚生労働省 - インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤(ジクロフェナクナトリウム)の使用について, 2000-11-15.
[4] 厚生労働省 - インフルエンザによる発熱に対して使用する解熱剤について, 2001-05-30.
[5] 日本小児科学会 - インフルエンザ脳炎・脳症における解熱剤の影響について, 2000-11-13.

はたいたかし
http://exlight.net/
2018-01-11

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