ATMカードをデビットカードとして利用する場合とクレジットカードとして利用する場合の違い

アメリカの銀行でアカウントをつくると,ATMカード(日本で“キャッシュカード”と呼んでいるものに相当)がもらえる. このATMカードには,Master CardやVISAといった,いわゆるクレジットカード会社が発行していて, デビットカード(Debit card)の機能のほかに,通常のクレジットカードと同じように利用できる機能がついている. ただし本当に“クレジット”カードなわけではなく, あくまで表面上クレジットカードと同様に見える(クレジットカードのみ受け付ける店でも問題なく利用できる)だけで, 実際にはデビットカードとして利用した場合と同様に即時決済になる.

となると,疑問がでてくるのが, 同じATMカードをデビットカードとして利用した場合とクレジットカードとして利用した場合は, いったいどんな違いがでてくるのかという点である.

一番すぐわかる単純な違いとしては デビットカードとして利用すると認証方法がPIN(Personal Identification Number;いわゆる暗証番号)入力になり, クレジットカードとして利用するとサインになるという違いがある(なので,新しい機械をもっていない ---オンラインで銀行のホストマシンにアクセスして暗証番号があってるかどうかなどを照合できる機械をもっていない お店ではデビットカードは使えない). しかし,PINかサインかは表面的な違いであって,本質的なものではない.

(画像1)Carls Jr.でデビットカードを使った場合のレシート. “Fee $0.75”とあるのがデビットカードの手数料.

分岐点は25ドル? デビットカードの75セント vs クレジットカードの3%

近所のクリーニング屋の店員さんの話(2005年12月05日雑談中に聞いた話)では, デビットカードとして処理すると金額にかかわらず手数料が75セントになり, クレジットだと手数料は使った金額の3%になっているとのこと. したがって,25ドル(=0.75セント÷0.03)以上だとデビットカードとして処理するのが得, 25ドル未満だとクレジットカードとして処理するのが得という計算になる(2005年12月現在). ただし,このクリーニング屋さんの場合, 手数料は店側が負担しているので(当然その源泉は客が支払ったクリーニング代なんだけども…), 利用者側には違いがわからず,どちらで処理するかは,あくまで店側の問題になる. したがって,このクリーニング店の場合, (クリーニング代は少額の場合が多いので)すべてクレジットカード扱いで処理しているとのこと.

この手数料の話はとても納得できる. 例えば,レストランによってはクレジットカードが利用できるのは15ドル以上のときだけになっていたり, ホテルの売店で5ドル以上のときしかクレジットカードが利用できなかったりするのは, 店側が手数料負担が気になるからなのだろう.

デビットカードの手数料をとるお店もある

大手ハンバーガーチェーンの“Carls Jr.”は,デビットカードの手数料を負担してくれない. なので,デビットカードで払うと手数料75セント分を余計に支払わないといけない(画像1参照).

しかし,不思議なことにナゼかクレジットカードを使った場合,手数料は店側が負担してくれる (クレジットカード会社と特別な契約でもしていて手数料が微々たるものなのかな…). そのため,まったく同じATMカードを使っているのに, 支払方法として“デビット”と指定すると75セント高くなってしまう….

備考

ここに書いてある話はアメリカのデビットカード(Debit Card)のことで, 日本の“J-Debit”(銀行のキャッシュカードを使って買い物ができるサービス)とは関係ありません.


はたいたかし
Dec. 5, 2005. 初稿
May 5, 2006. 訂1 Carls Jr. のレシートを追加.
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