Déjà Dup についてのメモ

Amazon S3 へのバックアップ

Amazon S3 へのバックアップをするには,Amazon S3 support for Déjà Dup (deja-dup-backend-s3) をインストールする必要がある.

$ sudo apt-get install deja-dup-backend-s3

Amazon S3 support をインストールすると,“Storage location”(バックアップ先)の選択肢に“Amazon S3”が表示されるようになる(図1).あとは,Amacon S3 の security credential を S3 Access Key ID に入力するだけで,すぐに S3 へのバックアップを利用できるようになる.
図1 Storage location に Amazon S3 が選択できるようになる.
図2 dconf-tools を使ったバケットの指定

バケットを指定してバックアップ

Deja-Dup はデフォルトでは自動でバケットをつくってバックアップしてしまうが,一般的にはユーザー側で用途にあわせたバケットをつくって利用したい.Deja-Dup のバックアップ先として任意の S3 バケットを指定するには dconf-tools で設定を変更する(図2).[現時点の Deja-Dup 単独ではバックアップ先のバケットを指定することはできない(そもそも そういう設定画面がでない).]

$ sudo apt-get install dconf-tools

Amazon S3 バックアップの費用

Amazon S3 の料金は以下のとおり(2014-09-25 時点[7]).わかっちゃいるけど,けっこう高い… 参考までに,物理的にポータブルHDD [8] を使ってバックアップした場合,月額85円と別世界的 安さになる(ただし,火災等に備えてバックアップ先のディスクの遠隔地保管や遠隔地保管した場合の紛失・盗難などに対する対策が必要になるのだけど…).
ストレージ種別 単価 512GBあたりの月額
スタンダード ストレージ $0.030/GB月 1,680円/月
低冗長化ストレージ $0.024/GB月 1,350円/月
(参考)Glaicer $0.010/GB月 560円/月
(参考)ポータブルHDD --- 85円/月
(参考)貸金庫+HDD --- 1,435円/月

※1 USD = 110 JPY で換算.10円以下切り上げ.
※ポータブルHDD は WD 製 2TB の Portable HDD [8] を保証期間の3年間使用した例.2TB で 340円/月なので 1/4 にして 85円とした.
※貸金庫は三井住友銀行の価格[9]をd参考にした.6か月8100円=1350円/月に上記 WD の HDD の価格を上乗せしたもの.
※2014/10時点では まだ Glaicer には正式対応していないため参考値として示している.ただ,Amazon S3 はスタンダード,低冗長化,Glaicer の3種類のストレージ間でファイルを移動できるため,いったんスタンダードにバックアップしたのち,S3 Management Console から他の種類のストレージに移動させる方法は使える(別の種類のストレージに置きなおしたい場合に改めて送り直しになるなんてことはない).

バックアップ時間

Standard Storage を利用した場合でも約 80 GB のバックアップに 8 時間程度(+リストア テストに 15 分程度). 2.7 [MB/s] がやっとといった感じで,ローカル ストレージや LAN 上の NAS にバックアップする場合と比較して,激しく時間がかかるイメージ… フルバックアップのやりなおしが発生しなように十分注意する必要がある.[参考 Deja-Dup でローカル ディスクにバックアップすると同じ内容で 1時間40分(13 [MB/s]).rsyncでローカル ディスクにバックアップ(コピー)だと約200GBを42分(78 [MB/s]).rsync による お気楽同期バックアップの快適さを知ってると耐えられない遅さかも….]

Amazon S3 へのバックアップ結論

コスト パフォーマンスやスピードの遅さなどの問題から,現時点では あまり現実的な解にはならなさそう.

Amazon S3 へのバックアップを考慮するのは主に地理的冗長性を確保するためだと思われるが(他の理由であればローカル接続のHDDやNASを導入するなどの方法でよいはず),現時点では様々な面でストレスが高く,新しいもの好きの技術的興味の範囲を超えないと考えるほうがよさそう.まともに考えれば,ポータブルHDD等を利用してバックアップを行い,職場などの遠隔地に保管することで ゆるやかな地理的冗長性を確保するのが現実的なように思う.

Links

[1] Déjà Dup Backup Tool
[2] duplicity
[3] Backing up Ubuntu Using Deja Dup and Amazon Web Services S3 (2013-01-14)
[4] Ubuntu Weekly Recipe: 第103回 Deja Dup で簡単バックアップ (2010-01-06) # Dropbox てバックエンドは Amazon S3 なんだ…
[5] ask ubuntu: Can I use Amazon Glacier as the backup location? (2012-11-14)
[6] launchpad: Duplicity Bug #1039511 Support for Amazon Glacier (2012-08-21) - 2014-05-09 時点で Status が Fix Released になっているので,もうすぐサポートかも. - Milestone は Duplicity 0.6.24 になっている.
[7] Amazon S3 料金表 / AWS 簡易見積ツール
[8] Western Digital Elements Portable 2TBs USB 3.0 WDBU6Y0020BBK-JESN
2013年6月の発売依頼,Amazon.co.jp のポータブルHDDの分野で ずっと?1位を守っている人気製品.2014年9月時点で 12,360円(1GBあたり わずか6円)というコストパフォーマンスの高さ.3年間保証付き.
[9] 三井住友銀行: 貸金庫
2014年9月時点で6か月8,100円=1,350円/月.さすがにバックアップしたHDDを貸金庫にあずけるくらいなら,Amazon S3 を利用したい感じ.貸金庫は他の用途にも使えるとはいっても,いちいち貸金庫にあずけるのは さすがに面倒すぎる….
[10] @IT: クラウド型ストレージ「Amazon S3」は安いか? (2009-01-09)
[11] @IT: “BCP対策はクラウドバックアップで”がニューノーマルに (2013-11-25)
[12] IBM: S3 を利用して保管を容易にする
[13] Amazon Web Services: Usage Report

はたいたかし
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2014-05-05
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