バージョン情報タブの作り方

プロパティ > バージョン情報タブ
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プログラム ファイル（*.exeや*.dll）を右クリックして“プロパティ”を表示させると， “バージョン情報”タブがついている場合がある． 右の図はWindowsの標準シェルであるエクスプローラ（explorer.exe）のプロパティのバージョン情報を表示した例である． ［注：右図には“ウイルスプロパティ”というタブも表示されているが， これはexplorer.exe自身のもっている情報ではなく“ウイルスバスター”というウイルス対策ソフトが付加しているものなので， ウイルスバスターがインストールされていないパソコンでは表示されない． 必ず表示されるタブは“全般”“互換性”“セキュリティ”“概要”の4つだけ．］

このバージョン情報タブは必須ではないため，なくてもプログラムとしては問題はない（そして実際ないものも少なくない）が， 自作のプログラムを配布するような場合には ぜひつけておきたいものだ． バージョン情報タブがついていると…

• 何のプログラムなのか不明なa.exeというファイルがあったとして， 実行してみて正体を調べるというような勇気のある行動をとれるユーザでなくても 何のプログラムだったか（あるいはプログラムのバージョンなどの諸情報）を調べることができるようになる．

と，ちょっとオトクな感じになる． しかも，このバージョン情報タブをくっつけるのは思いのほかカンタンだったりする． というわけで，この文書ではプロパティのバージョン情報タブを付加する方法について説明する．

リソース スクリプト（*.rc）を作ってコンパイル・リンクするだけ

実はリソースファイルを作成して，それをプログラムと一緒にリンクしてしまうだけでよい．

たとえば，hello.cというソースから作られるhello.exeにバージョン情報タブをくっつける場合， 次のようなファイル（リソース スクリプトと呼ぶ）をつくる．

#include <winver.h>

VS_VERSION_INFO    VERSIONINFO 
FILEVERSION        1,2,3,4
PRODUCTVERSION     5,6,7,8
FILEFLAGSMASK      VS_FFI_FILEFLAGSMASK 
FILEFLAGS          0x00000000L
FILEOS             VOS__WINDOWS32
FILETYPE           VFT_APP
FILESUBTYPE        VFT2_UNKNOWN
BEGIN
    BLOCK "VarFileInfo"
    BEGIN
        VALUE "Translation", 0x0409, 1252
    END

    BLOCK "StringFileInfo"
    BEGIN
        BLOCK "040904E4"
        BEGIN
            VALUE "CompanyName",      "<CompanyName>"
            VALUE "FileDescription",  "hello, world"
            VALUE "FileVersion",      "<FileVersion>\0"
            VALUE "InternalName",     "<InternalName>\0"
            VALUE "LegalCopyright",   "Copyright (C) 2006 Takashi Hatai.\0"
            VALUE "OriginalFilename", "hello.exe\0"
            VALUE "ProductName",      "hello\0"
            VALUE "ProductVersion",   "<ProductVersion>\0"
        END 
    END
END

リソース スクリプトhello.rcを用意したら，リソース コンパイラrc.exeでコンパイルして リソース ファイルhello.resをつくり， これをプログラムとリンクすれば作業終了である．

> rc hello.rc            ……… hello.resができる
> cl hello.c hello.res   ……… hello.resもわたす

できあがったhello.exeを右クリックしてプロパティを開くと バージョン番号というタブができているはずだ（下図）． 上記のリソース スクリプトの書き方については，MSDNなどの資料を参照してほしいが， そう固くならなくても，どこをどう変えれば どこにどう反映されるかは推測でわかるだろう． 実際に書き換えてみてコンパイル＆リンクして期待した結果が得られていればOKとしよう． どうしても詳しく知りたい人は参考資料の節を参照．

hello.exeのプロパティ > バージョン情報タブ
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実験セット

参考資料

• MSDN
  • リソース ファイル（Visual Studio）
• Herbert Schildt：『Windows 95 C/C++プログラミング入門』，日経BP出版センター，1995．
  Windows95が出たばかりのころに発売された本． Windows95といわれると古いイメージになっちゃうけど，実際にはWin32 APIを丁寧に解説するもので一読の価値あり． 最近ありがちな“ナントカ メニューをクリックしてナントカを選び，ナントカという項目のチェックをはずす”とかみたいな， Visual Studioの操作方法のHOW-TOを教える本なんかより ずっと価値がある．
  リソース スクリプトの書き方については“Appendix A. リソース言語のクイック・リファレンス”が参考になる．

備考

• プロパティのバージョン情報タブは，GUIをもつWindowsアプリケーションである必要はなくて，コンソール アプリにもつけられる． 実際ここで扱っている例ではhello, worldにバージョン情報タブを付加している．
• MSDNにも書いてあるとおり，リソースまわりの用語は多少混乱が見られる． この文書では以下のように用語を使い分けている．