凸レンズ以外にも, 曲面鏡(建物が密集した狭い道路の交差点に設置してある凸レンズみたいな曲面の鏡)のことをコンベックス ミラー(convex mirror)といったり,わりと普通に出てくる語. 数学では 放物線や双曲線, カージオイド曲線(cardioid)みたいな 凸形のふくらみをもつ曲線のことをコンベックスといったりする. また,凸形多角形のことをコンベックス ポリゴン(convex polygon)という [注:五角形以上の多角形は頂点を内側にヘコませる---内角が180度を超えるような頂点をつくることができるようになるのだけど, そういうヘコんだ多角形ではない普通の多角形の意味で凸形多角形(コンベックス ポリゴン)という]. コンベックスは本来は凸レンズみたいな やわらかい曲面のもりあがりのことを指す語なんだろうけど, コンベックス ポリゴンのように角が立っている場合にも凸の意味で使われる場合がある.
日本では巻尺のことをコンベックスということがあるけど 英語ではテープ メジャーというのが普通. 画像はHome DepotのWebページのスナップショット(もっと見る). |
日本ではカタツムリみたいな金属製の巻尺(メジャー)のことをコンベックスと呼ぶ場合がある(というか商品のパッケージにコンベックスとかいてあったりする)けど, 英語圏の人に突然コンベックスといっても巻尺の意味には解釈してくれない(よほど場面を限定すればOKかもしれないけど). 巻尺といいたいときはテープ メジャー(tape measure)やメジャリング テープ(measuring tape), あるいは単にメジャリング(measuring)やメジャー(measure)という. [ほかにもテープ ルール(tape rule)という言い方もあるみたい] [注:日本語でコンベックスといっている巻尺は,普通はテープの部分が金属でプラスチックのケースにはいってる小型のもの,建築や日曜大工に使う用途のものに限っている. 衣料品店や裁縫でウエストや首周りを測るときに使う柔らかい素材の巻尺や運動場で白線を引くときに使うオープンリールの大きなサイズのものはコンベックスとはいわない. これに対して英語のテープ メジャーは単にテープ状の尺といっているだけなので,どれでも(金属テープでなくても)テープ メジャーになる. ただ,運動場で使うようなオープンリールのものはオープンリール テープメジャーといったり, 日曜大工でつかう手で巻き取らなくてもよい巻尺はオートマチック テープメジャーといったりすることもある. まぁ,でも,たいして区別してはいないみたい(そもそも英語はいちいち区別する名詞を作らずに修飾語を付け足してわかるようにする傾向だし).]
[ところで,日本で自動巻き取り式の金属製の巻尺のことをコンベックスと呼ぶようになった理由だけど…
ある会社がコンベックスという商品名で売り出したのが由来らしい.
どの会社かはハッキリしないのだけど,
Webで検索してみたところ,おそらくコクヨなのかな?と思う.
ただ,登録商標ではなく単なる商品名のようなので違うかもしれない.
特許電子図書館-商標検索で調べたところ,語源になっていそうな商標は登録されていなかった
(コンベックスという語が含まれる商標は10件登録されていて,うち1件“本格コンベックス”は巻尺に関する商標だったけど,
これはコンベックスという語が巻尺の意味で使われだしたあとのものっぽく,語源になっている商品とは違うだろうと思う).2008-08-13調べ.
で,なんでコンベックスという商品名にしたかなんだけども,金属のテープの部分を引き出すとテープの断面が下に凸の弧を描くことから
コンベックス(凸)という名前をつけたのではないかと想像している.
自動巻き取り式の巻尺の鋼板テープ部分は,ケースの中に入っているときは 丸まっているのに
引っぱり出すと直定規のように真っ直ぐになる(ケースの中で丸まっていたときのクセもついていないし,1メートルくらい引き出した状態で片手で使えるくらいピンと伸びている)
点が工夫のひとつなのだけど,これを実現しているのが“引っぱり出すと断面が弧を描く”ところにある.
たとえば平らな鋼板テープだったら,1メートル引っ張り出したらペロンと下にたれてしまうので両手で押さえながら使うとか,
2人で両端をもって測りたいものにあてがうとかしないといけない.
つまり,この弧を描く…下に凸の形になる点がツボだからコンベックス(凸)という愛称にしたんじゃないかなと想像している.
まぁ,下に凸はホントは凹なんだけどもね.]
単語 | 意味 |
---|---|
concave | /コンケーブ/ 凹.凹面,凹形. |
convex mirror | 曲面鏡. 建物が密集した狭い交差点などで死角になる部分を見えるようにするために設置してある鏡とかみたいな凸面の鏡. 交差点やトラックなどの大型車に用いられているもののほか, ストーブや暖炉の背面に赤外線を反射させるために設置してあることもあるんだそうだ. [日本の石油ストーブの背面部分の反射板はコンベックス(凸)というよりはコンケーブ(concave;凹)だと思うんだけど,アレのこともコンベックスというのかな?] |
convex polygon | 凸形多角形. 五角形以上の多角形の場合,頂点を内側にヘコませる(内角が180度をこえる頂点をつくる)ことができるのだけど, そういうヘコんだ多角形ではなくて普通の多角形ですよといいたいときに凸形多角形(コンベックス ポリゴン)という. ところで,三角形までは2次元平面だと思っていいのだけど,頂点が4つ以上に増えると3次元空間になる可能性があるって気がついてた? なので,2次元平面上の多角形の意味で“planar convex polygon”のようにプレイナー(planar)という語をつけるときもある. |
double convex | 両面凸レンズ. 凸レンズには片面だけが凸でもう一方の面は平面になっているタイプのものと, 両方の面が凸になっているものがある. 両方の面が凸になっているタイプのレンズであることを強調したいときにダブル コンベックスという. ただ,最近は凸レンズというと普通は両面凸レンズのことなので,わざわざダブル コンベックスとはいわない. |
convex polyomino | /コンベックス ポリオミノ/ ポリオミノというのは正方形をくみあわせてつくる多角形のこと. インベーダーゲームのキャラみたいな感じのもの. |
convex hull | /コンベックス ホル/ サッカーボールみたいな多角形を組み合わせた立体でヘコんでいないものという意味. ホル(hull)というのは本来は野菜や果物などの固い皮や殻の意味. |
polyhedron | /ポリヘドロン/ 多面体. |