/ディダクト/
(費用の一部を)差し引く,控除する(from). 税金を控除・免除する(納税額から必要経費や公益団体に寄付した分を控除する).
[名詞]お金の差し引き(相殺),控除.差し引き・控除額. 演繹・演繹法(対義語 induction). ひとつの事実や定理から推論できる複数の結論を導き出すこと. [帰納(induction)・演繹(deduction)は日本語の方が難しい (帰納はまだしも漢字の意味からだいたい想像がつくけど,演繹の繹なんかこの語意外では使ったことがなくてどういう意味なのか全然想像できない)ので, 念のため再確認しておきましょう: たくさんの測定値や事実からひとつの結論に集約する方向の推論を帰納(induction)といい, 逆にひとつの理論からたくさんの結論に派生させる方向の推論を演繹(deduction)という.]
ところで,“お金を差し引くこと”と“演繹(ある理論から別の結論を導き出すこと)”がどう関係しているかなんだけど…
まず語幹として日本語でも排管とか配水管の意味で使われている“ダクト”(duct)という語があって,
これはつまり(水や空気に限らず何かをどこかに)“導く・つれていく”(lead,take away)という意味だったのだけど,
これが(1)お金を取り去るの意味と(2)ある理論を別の結論に導くの意味に分化していったようなのです.
ダクトが“lead”や“take something away”の意味なのは,
コンダクター(conductor)(=オーケストラの指揮者,旅行のガイドさん,電気を通す物体などの意味)や
セミコンダクター(semiconductor)(=半導体)などの派生語からも想像できます.
控除できる.
→保険金支払いなどで保険会社が支払い金から差し引くことができる額.
アメリカの車両保険や医療保険では,
ほとんどの場合 修理や治療にかかった費用の全額がもどってくるわけではなく,いくらかは差し引きかれる決まりになっている.
その差し引かれる金額のことを(保険会社が差し引いてよい額という意味で)“deductible”と呼ぶ.
例えば自動車を塀にぶつけてしまって修理に20,000ドルかかるというような場合,車両保険にはいっていれば保険金が支払われるのだけど,
20,000ドルの修理費用のうち500ドルは自己負担になり,この500ドルのことをディダクティブル(deductible)という.
[日本の国民健康保険とかも今では3割は自己負担になってるから,そういう意味では同じかも.]
ディダクティブル(deductible)は保険を使う場合のペナルティとしての役割があり,保険をかけたことによるモラルハザードが防げるという考え方らしい.
[救急車を呼んだ場合のディダクティブル(deductible)の例: 2002年ごろに救急車を利用した人の話だと,救急車の利用費用が400ドルで保険金支払いが350ドル, つまり50ドルが差し引かれて自己負担になったらしい. アメリカで救急車を利用した場合の費用はだいたい400〜500ドルくらい. アメリカには日本のような公的健康保険はないので,自分で保険に入っていない場合,もちろん全額自己負担. 2006-04-04]
単語 | 意味 |
---|---|
deduction | お金の差し引き.演繹(対義語 induction=帰納). |
deductible | 控除できる(差し引くことができる). 保険金支払いで保険会社が保険金から差し引くことができる部分=自己負担分. |
induction | /インダクション/ 帰納・帰納法(対義語 deduction /ディダクション/ 演繹・演繹法). |
exemption | 納税・徴兵・義務などの免除,税金の控除. |
duct | ダクト. 日本語のダクトは普通はエアコンや換気扇の空気を室外に送り出すための管のことをさす語なんだけど,英語では配水管とかもダクトという [伝統的な日本語では暗渠(あんきょ)というのが正しい語らしいけど滅多につかわないよね… 巨大地下壕とか巨大地下施設みたいなものを暗渠と呼ぶことがあるらしいのは知ってたけど]. また,英語では人工物だけでなく植物の導管・葉脈みたいなものもダクトという. |
conductor | オーケストラの指揮者,旅行のガイドさん,バスガイドさん,電車の車掌さん,会社の経営者みたいな“導く”人・リーダー. 電気を通すもの. |
semiconductor | 半導体. |