講談社のマンガ無料配信サイトMiChao!

MiChao!は,すべて描きおろしで無料で配信する. すべて描きおろしなので, 基本的には現在のビジネス(紙媒体のマンガ雑誌ビジネス)に悪影響を及ぼすことはないというスタンスだろう.

NIKKEI NET MAIL 2006年04月28日号でMiChao!が紹介された.

MiChao!とe-mangaの違い

MiChao!は伝統的なマンガを電子化してWeb配信するもの. e-mangaは,音を出したり絵を動かしたりするもので, 従来紙媒体のマンガでは不可能だった新しい表現形式に挑戦している. ただし,絵を動かすといっても,いわゆるアニメーションのことではなく, 静止画を暗転させたり振動させたりする程度. プレゼンテーションソフトのアニメーション効果のようなものを想像するとわかりやすい.

従来からパピレスが販売していたコンテンツに似たようなものがあったが, あまり成功している様子ではなかった. もっともパピレス経由で販売されている この手の新しいメディア ジャンル作品は ほとんどがアダルトコンテンツで, 新しい可能性を世に問うとかそういう類のものではない感じ.

#しかしパピレスは同人誌の委託販売なども手がけるなど, 果敢に新しい領域に進出していて, こういう新しい試みをやってみたい人にとっては 非常に重要な基盤を提供しているような気がする.

ブランド MiChao! e-manga
コンテンツ マンガ マルチメディア マンガ
リアルとの連携 不明(たぶんアリ?) あり
料金 ※1 無料 有料.月額会員制(単品販売もあり?)
配信頻度 週刊(毎週金曜日配信) 月刊

MiChao!は無料,e-mangaは有料

無料コンテンツ(たいてい第1話は無料)や書店で販売している紙のコミックス (例えば,美川べるの:『超空転神トランセイザー』など) を購入した人だけ無料で読めるコンテンツを提供するなどの方法でお客を誘導し, 気に入ったら月額会員になってもらおうという戦略.

#MiChao!は無料だけど,会員登録の必要はある. このあたりに何か秘策があるのか ないのか… わかりませんけど,とにかく無料コンテンツと引き換えにかなり有用な情報が集まるわけで 何かしらビジネスチャンスはあるはず.

Web以外の販売ルート(書店など)との連携

MiChao!のコンテンツは,すべてWeb専用の描きおろし作品なので 書店に行って既存の講談社のマンガ雑誌を買っても読めない内容になっている(少なくとも今のところ). e-mangaは,書店でコミックスも売り メディアミックス戦略をとっている (例えば,美川べるの:『超空転神トランセイザー』は 紙のコミックスの販売をしたのち,コミックスを買ってくれた人にe-mangaで特典コンテンツを配布するようなイメージみたい).

#ただし,e-Mangaの方は,これから 作家さんがいきなりe-manga用にコンテンツを作ってしまって, 紙に印刷しようがない(音とか動作は印刷できないから)という現象は起こるはずで, 少しずつ路線が変化してくるかもしれない. 例えば,e-mangaがメインで,書店ではe-mangaを読んでいる人が買うための愛蔵版のイラスト集を売るというような感じになってくるのかも. いずれにしても,今は過渡期でリアル書店からお客を誘導してくる必要があるのかもしれないけど, 将来的にはそうでもないと予想すると,あたらしいことをやってみたい作家さんは従来のマンガの枠を超えだす可能性大.

#MiChao!も,描きおろしではあるけど,MiChao!の連載がたまってきたら紙のコミックを出すんだと思う. 描きおろしっていうのは,あくまで“書店で売ってる既存のマンガ雑誌には載ってません”ていう意味で, ここに載ってるマンガは紙のコミックは出しませんといってるわけではない…と思うんだけど,どうでしょう?

#もともと講談社はメディアミックス(マンガ作品をドラマ化したりとか)得意なイメージあり.

コンテンツはT-Time形式

MiChao!のコンテンツは.book形式でつくられているようで, 閲覧にはVoyager T-TimePlugIn(ActiveXコンポーネント)を利用する. MiChao!でマンガをはじめて読むときに,ActiveXプラグインが(自動的に)ダウンロードされるようになっている. プラグインはインターネット エクスプローラ用のみしかなく,Firefoxは使えない(もちろんMiChao!のWebページ部分は読めるけど肝心のマンガの部分が読めない).

デジタル パブリッシング フェア2006でVoyagerの説明員の方から話を聞いていて気がついたのだけど, どうやらMiChao!は単独展開ではなく,ビットウェイ コミックスと連携しているようだ. コンテンツの技術的な部分も共通化されているようで,プラグインのダウンロードの際にもアドレスがcomic.bitway.ne.jpになっている.

MiChao! T-Timeプラグイン ダウンロード画面

関連リンク集


はたいたかし
2006-04-28 初稿
2006-05-07 訂1 詳細調査追加
2006-11-25 訂2 T-Timeプラグインについての記述を詳細化
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