収入印紙
領収書に貼ってある切手のようなものって何?
- 3万円以上の買い物で領収書を発行する場合,200円の収入印紙を貼る必要がある.
- いくらの印紙を貼るかは領収金額や文書の種類による.
- マンション購入の契約書などの場合,5000円とか かなり高額になる場合もある.
- 領収書に印紙税を貼ることで印紙税という税金をはらったことになる.
- 領収書は租税政策上 課税文書となっている.
- 貼り忘れた場合も領収書としては有効.
- ただし,脱税なので税務署から指摘をうけたら追徴課税される可能性がある.
- 追徴課税される場合,ペナルティーとして 3倍の額を納付する必要がある.
- 印紙税の納付は領収書を発行する側の義務なので,領収書を受けとったほうには責任はない.
- 切手と同じではるだけでなく「消印」を押す(再利用できないように).
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図1 非課税の場合の領収書の例(日本将棋連盟発行の領収書の例).「印紙税法 第5条により非課税」などと書かれている.
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図1 あとでまとめて払う場合の領収書の例.[注 この例では「印紙税申告納付につき芝税務署承認済み」と書かれている.ただし,この例は領収書の書式をとっているが,「クレジット支払い」のため,正確には領収書ではなく,そもそも非課税.現金払いのときと同じ書式のため同じ文言が印刷されているものと思われる.]
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いつも貼ってあるわけではないけど…
3万円以下は そもそも収入印紙は必要ない.非課税になる条件については印紙税法[1]の第5条等で定められている.
また,3万円以上の商品など課税対象の場合でも,下記のようなものは収入印紙の貼りつけを省略できる.
- クレジット カードでの支払い.
クレジット カードでの支払いは信用取引であり現金のやりとりがなく《領収》にあたらない.そもそも,クレジット カード払いの場合,正確には領収書ではなく《領収書のようなもの》が発行されている(後述).また,その《領収書のようなもの》には「収入印紙につきましては下記正式領収証により納税済みのため省略させていただきます」のように記載されている.
- 印紙税の申告納付を税務署から承認されている場合(あとで まとめて払う場合).
このケースでは,領収書には「印紙税申告納付のため印紙貼付省略」のように記載されている.
クレジットカードで払った場合
クレジットカードでの支払いは現金取引ではないため印紙税がかからない.
- クレジットカードでの支払いは信用取引にあたるためお店は領収書を発行してはいけない.決済が発生するのは,お客とクレジットカード会社との間と解釈されている.
- しかし,慣習的に,お客が希望すれば,お店は《領収書のようなもの》を発行してくれる.この《領収書のようなもの》は,会社の経費申請などでは領収書相当として使用できるけど,厳密には領収書ではないため,収入印紙は不要[3].
そもそも領収書は誰が発行するのか
クレジット カードを使って代金を支払うケースを考えてみればわかるとおり,商品・サービスは,お店とお客の間で直接うけわたされているけど,代金は,お客→クレジットカード会社→お店のように間接的にやりとりされているケースはよくある(ほんとは商品でも,お店→運送会社→お客のように直接授受でない場合もあるけど).このような場合,領収書は(a)お店がお客に発行する,(b)クレジットカード会社がお客に発行する,の2種類の候補があることがわかるだろう.
特に気にしていない人は,なんとなく (a)お店がお客に発行している気がしているけど,実はお金を受け取った人,つまり(b)クレジットカード会社が領収書を発行するのが正しい.下表に決済方法と領収書の発行者をまとめた.
決済方法 | 領収書/領収書相当の文書の発行者
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クレジットカード
| クレジットカード会社が発行.ただし,通常は月に1回まとめて返済しているはずなので,1か月間の買い物総額と明細の形式になってしまう.
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代引き
| 配送業者が発行する「品代金領収書」が領収書.
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コンビニ支払い
| コンビニが領収書を発行.
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銀行振込
郵便振替
| 振込みの控えが領収書のかわりになる.
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これらは国税庁から正式に領収書のかわりにできることが認められているため,販売者に別途領収書を発行してもらうことはできない(領収書の二重発行になるため).
歴史・豆知識
- 印紙税をはじめて課したのは1624年のオランダ.当時オランダはスペインとの独立戦争で財政が逼迫していたことから財源が必要で,印紙税というのをひねりだした.
- 1660年デンマーク,1673年フランス,1694年イギリスが採用,日本は1873年採用.
- オリジナルのオランダでは既に廃止.アメリカ,ドイツにこの制度はない.
- 英語では“the Stamp Act”(印紙条例).
- 日本では印紙税で毎年 1.5 ~ 2 兆円も徴収している.
- 区役所で住民票の写しを作成してもらう場合などにも,場所によっては料金を収入印紙で払う場合がある.例えば横浜市では収入印紙の自動販売機が設置されていて,自分で料金分の収入印紙を買って書類を受けとる際にわたすようになっている.(もちろん,現金で支払う市役所・区役所も多い.)
Links
はたいたかし
http://exlight.net/
2010-10-07