スコップ(scoop /スクープ/ 発音注意),シャベル(shovel /シャベル/ 綴り注意).
いわゆるトランプの「スペード」(spade)と同じスペード. アレは日本語でスコップまたはシャベルと呼んでいる道具のこと. そういわれてみるとトランプのスペードもシャベルみたいに見える.
スペードとシャベルは何が違うかというと, スペードは本来,土を掘り返して耕すための農機具で, シャベルは石炭や砂などを掘り出したり運搬するための道具なんだそうだ. つまり出自の違いというわけ. しかし,Google Imageなんかを見てみるかぎり, 現在ではスペードとシャベルの違いはあまり意識されていないようだ.
トランプのスペードは13枚あるので普通 spades と複数形にして使う. 例えば,スペードのクイーンは the queen of spades という.
日本語の「スコップ」は英語ではなくオランダ語が語源になっている.英語では「シャベル」が正しい. が,ややこしいことに,実は英語にもオランダ語の「スコップ」が入り込んでスクープ(scoop)という語になっていて,アイスクリームやマッシュポテトを取り分けたりするときに使う大きいスプーンのことを“スクープ”(scoop)と呼んだり,「すくいとる」という意味の動詞でスクープといったりする. 例えばレスリングの技で相手をもちあげて(すくいあげて)投げる技のことを「スクープ」といったり,脚をすくって相手を転ばすことを「レッグ スクープ」(leg scoop)と呼んだりしている.
日本語でも新聞や雑誌が「スクープ」することがあるけど,あれも「すくいとる」の意味のスクープ,すなわち日本語ではスコップだったりする.
本来の意味は,畑を耕す作業(種をまく前に畑全体をスコップで掘り返しまくって地面をやわらかい状態にする作業)のことなんだけど, これが転じて,(2)重労働,(3)下調べ,事前調査,事前準備の意味になっている. 人力で農作業をやっていた時代には畑を耕す作業は他の工程と比べてすごく大変な重労働だったことは容易に想像できるし, 種という植物の要素が出てくる前にやっておく仕事という意味で,下調べ・事前準備の意味になったのもわかりやすい.
単語 | 意味 |
---|---|
spadework |
/スペードワーク/
(1)畑を耕すこと.
種をまく前に畑全体をスコップで掘り返しまくって土をやわらかく・空気を含んだ状態にする作業.
田植えとかの前に耕運機で土を掘り返す作業. 転じて,(2)重労働,(3)下調べ,事前調査,事前準備,事前にやっておくべきルーチンワーク(preparatory routine work)の意味になっている. |
preparatory |
/プリパラートリー/
事前の.「予備実験」とかいうときの「予備の」. prepare(/プリペアー/,準備)の派生語. [理科の生物の授業なんかで,顕微鏡で見るのに使うガラス板に植物の細胞とか微生物とかを挟んだもののことを「プレパラート」というけど,これはドイツ語に由来している. 実は,日本の理科の授業でつかっているプレパラートという語は少し間違っていて,本来プレパラートというのは「prepared」,すなわち「すぐに顕微鏡で見れるようにあらかじめ作りおきしてある標本」という意味だったりする. 日本の理科の用語では媒液として水を使うその場限りのものを「一時プレパラート」,ずっと保存できるように水のかわりに腐らない液体を用いたものを「永久プレパラート」と呼んでいるけど,本来は後者だけがプレパラート = プリペアードになる(自分で今から準備するものはプレパラートとは呼べないかも). 英語では specimen(標本)または prepared specimen (準備済みの標本)というのがよいかも.] |
trowel | /トラウル/ 園芸なんかで使う片手用の小さいスコップ(日本語では“移植ごて”と呼ぶらしい)や カベや塀にセメントなんかを塗ったりするときに使う“こて”のことを トラウル(trowel)と呼ぶらしい. |
spatula | ヘラ.しゃもじみたいなもの. |
scoop | (1)アイスクリームとかをすくって取り分けるときに使うきいスプーン. アイスクリーム屋さんとかで使っているアレ. (2)スクープ・特ダネ. |