対策
対策には2系統がある.
遭遇回避
危険時期・時間帯・地点に近寄らない.近寄る場合は細心の注意を払う.
人間が近づいてきたことを知らせクマに回避してもらう.
遭遇後対策
対策グッズ
アイテム
備考
遭遇回避
鈴
笛
タバコ
ニオイ
遭遇後対策
クマよけスプレー
最も効果が高いが取り扱いが難しく非推奨(
後述
).
ピッケル
突進よけ.なんだけど よほどの雪山とかでないともってないよね.そして冬はクマは冬眠中だから必然的に出番はない.
ポール
突進よけ.なんだけど かなり心もとない.
ロープ
ヘビを嫌う性質を利用.らしいのだけどクマの前で曲芸でもはじめるつもりか?
基本的に対策グッズでなんとかしようと考えるのは間違い.
クマの習性を理解し,頭を使って遭遇回避・対策をとるのがよい.
グッズはもつとしても鈴くらいでよい.
クマよけスプレーの効果は高いが一般人が使いこなせる代物ではない(
後述
).
遭遇回避
遭遇しやすい時期・ポイントを知り,注意を払う.
時期
交尾期(6月) すべてのクマが非常に緊張状態にあり事故が起こりやすい.
秋(10月) 冬眠の準備に入る.食事量が増え,餌を探索する範囲が広がる.この時期は山中ではなく人里・民家などでの事故が多発する.
地点・地形
鞍部.
稜線が沢や谷で切れている箇所.クマは基本的に森林の中を身を隠しながら移動してくる.森林が切れるポイントがある場合,可能なかぎり対岸の森林が近いポイントに移動してオープンスペースにいる時間を短くしようとする.そこが人間とクマの交差点のような感じになる.
鈴は平坦地であれば 300 m 離れていてもクマには聞こえている.
ラジオは非推奨.
本来は人の話し声はクマにとって非常に違和感のある音で効果的.しかしラジオを使う場合,まわりの人を気にして音量を上げづらくクマにも聞こえづらい.
自分も意識が散漫になりやすい.ラジオのせいでクマが枝を折る音や威嚇する唸り声を聞き落とすのでは本末転倒.
タバコのニオイを嫌うことはよく知られている.
クマは非常にニオイに敏感なため,人間の存在を知らせる意味で絶大な効果がある.
最近はタバコを吸う人も少なくなっているし,歩きタバコはもちろん,山中でタバコを吸うというのも相当に気がひけるので難しいかもしれない.
蚊取り線香のような形状の「獣避け線香」という製品もある.
児玉兄弟商会 富士錦 獣よけ線香
カプサイシンを使用した製品で,クマよけスプレーに近い考え方の製品.基本的には持ち歩き用ではなくキャンプサイトなど「場所」に対して使用する.
遭遇後対策
動かない
クマは特に左右の動きに非常に敏感.
可能ならクマに視線を固定したままバックして距離を離したいところだが,登山道では簡単に転んでしまうため下手に動かないほうがよい(転倒など大きなアクションがきっかけになって襲われる).
木の陰に隠れる
発見が遅れて距離が 10 m 程度に近づいてしまった場合に有効.
人間を{頭,両腕,両足}の 5 つのパーツで認識していると可能性が高い.木の陰に体を隠すと相手が何なのか認識できないケースが見られる(頭をだしてクマの動向をうかがっていても大丈夫).
ヤブの中に入って下半身を見えないようにするなどの方法も有効と考えられる.
大きく見せる
手に持っているものを振り上げたり,ザックを振り回したりすると効果があるかもしれない.
クマはクマを恐れている.共食いの習性があるため.
人間もクマと誤認している可能性も指摘されており,相手が大きければ退避を選択する可能性が高くなる.
クマが攻撃してくる場合でも一撃を入れて逃げようとしているケースが多い.
ただし,山林の中で出会った場合と,人里の場合で被害状況に大きな差がでる.
山林ではクマは一目散に退避して特にそれ以上の被害がでないことが多い.数秒のイベントで終わる.
人里ではクマは神社の雑木林のような退避地点を目指して走るが,逃げる途中で別の人にであって次々に攻撃する,退避地点に逃げ込んだものの十分に身を隠せる場所がなく迷走する,隠れるために建物に飛び込んでも中に人がいてさらにパニックに陥るなど多数の重傷者がでることがある.人里は刺激が強いため極度のパニック状態に陥っており大暴れすることが多い.乗鞍岳・畳平での人身事故もこのパターンにはまっている.
ピッケル,ポール類
クマと接近してしまった場合に突進ガードとして役に立つことが報告されている.
軽いものでは CAMP CORSA NANOTECH 240 g / 45 cm,253/55,264/65 のようなものがあり,意外と利用しやすい.
金剛杖の現代版のようなポールもある.自救サバイバルという分野でいろいろあるみたい.
多機能トレッキングポール
(325 g)
LULAA アウトドア登山杖
クマよけスプレー
POLICE MAGNUM B-609
※効果は高いが
非推奨
.
追い払い成功率 90% 超
(アメリカでの調査報告)
使い方
5 m まで近づいた時点で初回の噴射を行う.それ以上遠いと効果がない.
4秒程度しか使えない
ため,十分に引きつけ 5 m で1回,4 m で1回, 3 m で残り全部を噴射する.
100 ✕ 100 m の範囲に唐辛子臭が充満するほどの強烈な威力があるため,誤射・乱発してはいけない.
成分の
Oreoresin Capsium (OC)
は,人間にとっても相応に危険.
クマに対して適切に使用した場合でも,噴霧した薬剤の一部を人間が浴びたり吸引したりしてしまうが,かなりひどい目にあうものの,その程度では特に害はない.また,目も非常にヒリヒリするものの目が見えなくなることはないため下山に支障をきたすことはない.
風向き
強風時は使用困難
.
自分が風上になっている必要がある
.周囲に人がいる場合の使用は難しい可能性がある.
使用方法が難しく,実際に実用するにはかなりの熟練が必要(クマに出会ってもパニックにならない・冷静に行動できるなども含めて).
飛行機・電車などの
公共交通機関への持ち込みが禁止されている
ため陸送または現地調達・処分が必要.
知床や大雪山などではビジターセンターでレンタル可能.
経済的でなく,取り扱い・処分も難しい.
非常に高価な上,使用期限が短い(3年程度).
内容物的に自分で穴を開けてガスを抜いて捨てるわけにはいかず,専門業者に引き取ってもらう必要がある.
誤噴射事故も度々発生.
2007年 大雪山黒岳ロープウェイ ゴンドラ内で安全ピンが外れて誤噴射.近くにいた外国人2名が病院に搬送された.
2008年 北海道の温泉旅館でクマスプレーの使用方法確認中に誤噴射.宿泊客24名が救急搬送され,うち1名が入院.
2009年 JR中央線 大月駅で停車中の電車内で装備品を確認中に栓が抜けて誤噴射
.乗客80人が避難.
2019年 北海学園大学の山岳部所有のクマスプレーが誤噴射
.約100名が避難.
重要
ツキノワグマ用には対人・防犯用
を使用する(
POLICE MAGNUM
など).
200万SHU以上に設定されているヒグマ用は非常に強力で人間側にも少量暴露しただけで皮膚・粘膜がただれたりする問題がある.
対人用でも
POLICE MAGNUM
のようにツキノワグマに十分な効果が認められているものがある.
価格も安く,街なかで安全に携帯性できるよう工夫されている製品が多く,使いやすい.
水性のため洗い流すことで被害の緩和が可能.ヒグマ用のものは油性なので簡単には除去できない.
Links
日本護身用品協会 -
熊よけ(ベアー)スプレーの実態及び危険性の勧告
[
PDF
]
Pepper Spray
/
トウガラシ スプレー
クマスプレー誤噴射体験記
【衝撃】熊スプレー自爆で知る、熊スプレーの威力
(2021-07-16)
sarastroさんの日記 誤射 その1
(2012-04-29)
護身用・ツキノワグマ用ペッパースプレー
POLICE MAGNUM
POLICE MAGNUM B-609
参考 ヒグマ用クマスプレー製品
Counter Assault Bear Spray
(日本代理店
OUTBACK
)
Novel Arms -
Carl Hoernecke TW-1000
HOERNECKE TW1000
SABRE Frontiersman Bear Spray
日本では
mont-bell
が扱っている.
はたいたかし
http://exlight.net/
2020-08-14
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