FinePix F10 検証(3) 夜の横浜みなとみらい21編

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FinePix F10 検証(3) 夜の横浜みなとみらい21編

ここまで,検証(1)深夜のブツ撮り編検証(2)深夜のコンビニ編と,FinePix F10の実際の使い勝手を見てきたのですけど,遠出する時間と気力がなかったせいで,メーカーの狙いとは少し違った使い方の紹介になってしまっていました.しかし,今回は本格派です.撮影対象はズバリ,横浜桜木町「横浜みなとみらい21」(MM21)の夜景です.
MM21は,日本で一番高いビル“横浜ランドマークタワー”をはじめ,“クイーンズスクエア”,スイカの形の“インターコンチネンタルホテル”などの美しい高層ビルが立ち並び,帆船“日本丸”,入り江をはさんで遊園地“よこはまコスモワールド”“ワールドポーターズ”などなど,とにかく見所の多いところです.夜景もたいへん魅力的で,FinePix F10の店頭販促用のサンプル写真の中にも横浜みなとみらい21のスナップが入っています(FUJIFILMのWebページなどにはこのサンプル写真はあがっていないようなので,○○カメラなどの店頭でご確認ください).

この用途にはバッチグー!

撮影結果は下のサンプルをご覧ください.
見てのとおりで,さすがにメーカーの想定どおりの使い方だけあって,とってもいい感じです.撮影方法は例のごとく,まったく工夫なしにカメラを片手でもって,とりたい構図をつくってシャッターを押しただけです(まったくのシロウトの方がF10のSPモードを使って撮影する想定です).



(1)ビル群と観覧車 (2)ランドマークタワー

上の画像は縮小してあるので,とてもきれいに見えますが,実際にはかなりザラついているし,ピントも甘かったりするのですが,何の工夫もなしに,ただシャッターを押しただけでこれだけとれていれば十分満足いくでしょう.撮影時刻は日曜夜11:00すぎ,夜景がきれいとはいっても,それは人間の目で見たら明かりがきれいに見えるという意味であって,単なる機械であるカメラにとっては,ほとんど「まっくら」と同じと思っていい状況です.普通のコンパクトデジカメで同じように撮影したら,まったく絵にならなかったでしょうから,夜景をとるつもりでF10を買った人の期待を裏切らないデキだと思います.

ズーム!ズーム!どこまで写ってる!?

実際にどれくらいまでとれているか拡大して見てみて,とても驚きました.



(1a)枠の部分を拡大 (2a)枠の部分を拡大


(1b)50% いい感じ (2b)50% かなりボケてる


(1c)100% すごい!こんな遠くの車まで! (2c)100% 実はボケボケです

FinePix F10は610万画素と,現在のコンパクトカメラの水準では,もっとも高画素な部類に入ります(コンパクトカメラは500万画素くらいが普通,高級機や一眼レフ機で800万画素).したがって,拡大すると(正しくは拡大ではなくて縮小せずに原寸大にもどすと)ものすごく細かい部分まで観察できます.
といっても,撮影対象が非常に暗い夜景ですから,正直,高画素なんてまったく意味ないのだろうなぁ,何にも写ってないんだろうなぁ,と思っていたのですが,(1c)の自動車がいちおうわかるくらいの精度で写っていてびっくりしました.まさかここまで撮れているとは…驚きました.

夜景をとるときはできるだけたくさんシャッターを切ろう

以上のように,典型的な夜景撮影では,きわめて良好な撮影&使い勝手が期待できることがわかりました.
が,念のため付け加えておくと,何も考えずにシャッターを切る場合は,少しずつ構図を変えたりしながらできるだけたくさんシャッターを切っておいて,あとでパソコンで画像を確認して写りのよいものを選ぶという使い方をすることをおすすめします.というのが,(a)のような光量の多い面積が広い構図の場合は特に工夫しなくてもわりといい絵がとれますが,(b)のような画面のほとんど(特に中央付近)が真っ黒の構図は失敗することが多いからです.
これはカメラがシャッタースピード(露出時間)を決めるアルゴリズムから生じる特性のようです.(a)のように画面の中に明瞭に明るい部分があれば,カメラはユーザがそこを撮影しようとしていると判断します.その結果,その明るい部分をとるのに十分な露出時間があればよいので,露出時間が短く(シャッタースピードが速く)なり,シャープな絵になります.しかし,(b)のようにマトが絞りにくい構図だと,カメラはユーザが何をとろうとしているのか判断がつかないため全体を満遍なく写せるような露出時間を確保しなければならないと判断するのですが,この構図のように全体的に暗いと,全体的が写るようにするにはどうしても露出時間を長く(シャッタースピードを遅く)しないといけなくなるため,非常に手ブレを起こしやすいのです.
実際には,F10を使っていくらか撮影すれば,どういうパターンはうまくとれて,どういうパターンはうまくいかないかはなんとなくわかってくると思うので,そんなに難しく考える必要はないのですが,記念写真とかの場合は「できるだけたくさんとっておく」ことを心がけたほうがいいと思います.

確実にうまく撮れるパターンは下の絵のように,画面の中央付近にマトになる明るいもの(この場合ライト)がある構図です.このパターンにはまると,シャッタースピードが速くなって,キリッとシャープでコントラストの高い絵になります.


FinePix F10の得意パターン

コメント(4)

す、すごいですね、プログラムオートでこんな写真が撮れるとは、、横浜等はボクの心の中にある横浜そのものに写っています。補助光は4メーターですか、、。それでも夜にたたずむ近めのオブジェ等にはききそうですね。フジ恐るべし。

そうなんですよ.ぼくも今回横浜MM21の夜景をとってみて,脱帽という感じでした.高感度でノーフラッシュ撮影というアイデアもいいし,とにかく自然な光をとれるようにすることに正面から取り組んでる感じでスゴイなと思いました.あとはマーケティングを上手にやって,F10の特徴をうまくアピールできればヒット商品になりそうです.

たしかに、、カシオ、パナ等と違ってフジは宣伝アピールがちょっと弱いですよね。いい機械出しているのに少し勿体ない感じがします。

ソニーやパナソニックみたいな家電の会社はやっぱりテレビCMとかの演出・イメージづくりがうまいですよね.フジのF10のCMは,カメラをよく知っている人なら,あのCMが何を言おうとしているかすぐに理解できるとは思うのですけど,一般の方にはわからない(または気にしていない)のではないかと思います.F10のシャッター押すだけでちゃんと撮れてるていう特徴は,むしろ素人の方向きなんですけどね(カメラ詳しい人ならマニュアル調整で上手に撮るだろうから).